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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意

恐らく、入院していた時に見せられた写真に写っていた男と女が起こした事件のことなんだろう。
理人さんの言うとおり、その部分の記憶はすっかり抜けている。
「……そうかもしれません」
「前に探偵に頼んで風子さんの過去を調べさせていただいたことがあるのですが、以前も記憶をなくしたことがあったようで。今回も心の病でしょうか?」
「はっきりとはまだ分かりませんけど、俺はそれが原因ではない気がしてます。
殴られたみたいだったので脳震盪を起こして記憶がなくなってもおかしくないですから」
「なるほど。見た感じはなんともないようですけど、体の方も心配ですね。……そうなると式は延期ですか」
何の式……?
思い当たる節がない私は眉をひそめて耳を傾ける。
「そうですね……。忙しくて手が回っていませんでしたから、急いでキャンセルしないといけないなって話していたところです」
「風子さんに結婚したことは教えたんですか?まさか、教えずに彼女の前を去るとは言いませんよね?」

