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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意



「はい。話を聞く限り、まだ間に合うのかなって思って……」


「どうしてそんなに急いで式を挙げたいの?延期する事情はみんな分かってくれると思うから心配しなくていいんだよ」


私が急いでいる理由は本当はそこではない。


傘を持つ反対の手で濡れた髪を撫でられて不思議と心が落ち着いていく。


どんなことでも向き合ってくれそうな姿勢を見て、話すのが怖くてずっと黙っていたことを打ち明けることにした。




「私……、昨日よりも覚えていることが少なくなっている気がするんです」


「普通じゃない?俺だって昨日食べた物とか忘れることがあるよ」


「そういうものじゃないんです。なんて説明すればいいのか分からないですけど、目が覚めたら昨日覚えたことも忘れていておかしいというか……。

今日だって昼に電話を掛けた時、ソラ先輩の声を少し忘れていたのかすごく緊張しちゃって……」



「えっ……。そう…だったんだ……」


「だから今じゃないとダメなんです。事件に巻き込まれる前の私がやりたかったことをやりたいんです。

そうでないと……、いつか過去を思い出せたとしても絶対に後悔します」


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