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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意



「ソラ先輩……、お願い……」


腰に回している手の力を強めて見上げると明らかにソラ先輩の口元が緩んでいた。


記憶を失う前はどうだったのか分からないけど相当私に甘かったんだろう。


今だって思い返せば甘やかされてばかりだ。



「……とりあえず帰るよ。風邪を引いたら大変だからね」


誘惑に耐えたソラ先輩は、はっきりとした答えを言わないまま私の手を握って歩き出した。


しかも私の肩まで濡れないようにしっかりと傘に入れてくれている。


私の方がソラ先輩の優しさに負けて、歯向かうことをせず一緒に自宅へと帰った。



家へと戻るとバスタオルを持った母が今にも泣きそうな顔をして玄関へやってきた。


「勝手に出て行って何をやってるの!心配したんだからね!」


「ごめんなさい……」


リビングに行ってからも顔を合わせにくくて、濡れた髪を拭きながら横を向いていた。


「何度も言うけど、結婚式のことは諦めて今は自分の体のことを心配しなさい」


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