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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……

立ち上がってからポケットに入れていたスマホを取り出すと手を滑らせて落としてしまっていた。
スマホが跳ねて落ちた場所は狭い窓手摺の下の部分で、今にも隙間から下へ落ちてしまいそうだった。
「あわわわ。どうしましょう……。高いところが苦手で……」
手を伸ばせばギリギリ届きそうなところだ。
そう思った私はウエディングドレスの長いスカートを持ちながらヘアメイクさんのスマホを取ろうとする。
だけど両脇に置いてある淡い色の花が埋められているプランターが伸ばす手を阻む。
あともう少し……。
自分の身長よりも高さが低い窓手摺。体を外の方へ傾けて手を伸ばしていると、ちょうど下の方から私の方を眺めている人たちがいた。
その人たちを気にせず、もう少し手を伸ばそうと外の方と重心を掛ける。
やっと取れた……!
あれ……。
でも指先に触れていたスマホを取れた時には、あまりにも体が前のめりになっていて室内へ戻ることができなかった。
まさか自分が落ちてしまうとは思っていなかったから声すら出なかった。
「――――風子!」

