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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……

「ったく、見つめ合うリハーサルは二人きりでやっとけよ。結婚式でいっぱい見てやるんだからよ」
「でも無事で良かったじゃないか。今日の主役を怪我させるわけにはいかないからな」
ウエディングドレスを気遣いながらゆっくりと起き上があると、続いてソラ先輩と三人の男性も立ち上がる。
何事もなかったようにジャケットやズボンについた芝生をはらっていたから誰も怪我をしていなさそうで安心した。
「どうして私がここにいるって分かったんですか?」
「理人さんが電話で教えてくれたんだよ。風子がウエディングドレスを着たまま走っているって聞いて何かあったと思って急いで来たんだ。
颯太と郁哉さんもここにいるとは思っていなかったけど」
その理人さんの方にソラ先輩が手を向けてくれたおかげで誰なのか知ることができた。
退院してきてからすぐのことは忘れてしまっているから、自分の両親と郁哉さんと会社の人しかはっきりと覚えていない。
だけど消去法で考えて、きつめな口調で話している男性は颯太さんなんだろう。
「まったく、何をやっているんですか。花嫁が結婚式に二階から落ちるなんてありえないです。危ない人ですね」

