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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……



「もう!風子ちゃんたらまだ泣かないの~。

これから挙式なんだから泣くのは披露宴の時にしなさいよね。

アタシとヘアメイクさんが一緒に頑張ってした化粧が崩れるでしょうが」


「そうですよね。すみません」


那砂さんに注意をされていけないと思い、上を向いて涙を堪える。


「バージンロードっていうのはね、花嫁が生まれた日から今日の道のりを現しているらしいわよ。

そこを歩くんだから綺麗な姿で一歩、一歩進んでもらいたいのよ」


「生まれた日からですか……」


「確か、お父さんと腕を組んだ時が生まれた日らしいわ。だから大事に歩いて来なさい」


「…………」



今は思い出せないけど、ここまでくるために色んなことがあったんだと思う。



楽しいことも、悲しいことも、辛いことも、幸せなことも……。



無事に挙式が始まり、憧れていたバージンロードを父と共にゆっくりと進む。


その想いを胸に神聖な道を一歩、一歩歩んできた時を感じながら前へと踏み出す。


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