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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……



だから、小さい頃の私が泣いているんだろう。


どんなに過去のことを忘れても自分の心の中から消すことのできない傷が教えてくれている。



屈んで顔を覗いてみても泣いたまま。


過去にどんなことがあったのか詳しく思い出せないけど私はこんなにも傷ついていたんだ……。



「もう泣かなくていいんだよ。あなたはひとりじゃないから」


慰めるように優しく声を掛けてから小さな頃の私を包み込むようにそっと抱きしめた。


ずっと欲しかった愛を伝えるように……。



『どうしてそう言えるの……?』


「傍にいてくれる大切な人が現れるからだよ」



『私の隣に……?』


肩を両手で包みながら小さい頃の私の顔を確認すると希望が映っているような瞳に変わっていた。


まるで狭くて暗いトンネルから抜けて、広くて綺麗な青空を見るように……。


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