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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……

段取りではそうだったはずなのにソラ先輩は私を抱えたまま歩き出した。
前に進んでも途中で下ろしてくれる気配はない。
きっと私が体調を悪くしている様子を心配していたから気を使ってくれているんだと思う。
急な出来事に驚いたけど、そのことを知って嬉しくて笑顔を絶やさず抱かれていることができた。
「ヒュー!ラブラブねー!」
「那砂!恥ずかしいので静かにしてください」
拍手をされている中で那砂さんと理人さんの声が聞こえてくる。
会社のお偉いさんも来ていて少しお堅い場でもあるから羽目を外してもらえて有難い。
そんな中、重たいと思うような表情を一切出さずにソラ先輩は笑顔で私を席の近くまで運んでくれた。
「えーっと……、新郎さん、見事なお姫様抱っこでしたね!」
事前に打ち合わせをした司会者も急な変更に驚いたのか少し動揺しているけど、話を合わせてくれたようだった。

