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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

スマホを耳に当てて聞いているソラ先輩は今は穏やかな表情はしておらず、何やら難しい話をしているのか険しそうな顔をしていた。
「はい……。ああ……、そうですか……。あなたが俺たちのことを……」
何の事だろう。スマホから微かに漏れてくる声も聞き取るように耳を澄ましてみる。
距離があってはっきりとは聞こえないけど相手の声は低いような気がした。
「……受けて立ちますよ。そういう約束をしましたからね。……逃げたりはしませんから」
何かを争うようなことを言ったその口調は穏やかなものではなかった。
しかも、まるで私も関係しているようにこちらを見ながら話している。
でも一つだけ分かった。ソラ先輩が話すことから考えると今回の電話は仕事の話ではないんだろう。
「そうですけど……。すみません。もう少しだけ待つように言ってください。こちらにも都合というものがありますので」

