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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

私にとってはその内容が不透明のまま会話が五分ほど続き、その電話は終わった。
電話を切ってからもソラ先輩の表情は変わらない。
いつもすぐに微笑んでくれるのに、今はなんだか悲しそうな想いもあるように感じた。
「ソラ先輩……?」
体を起こしてその様子を心配しながら見ていると、私の側にやって来てぎゅっと抱きしめてくる。
私を包んでくる動作は変わらないけど、支える手に込められた力が別のもので先程とは違った意味がありそうだった。
「大丈夫ですか……?何か嫌なことでも言われたんですか……?」
悲しい時は抱き締めて欲しい。
病院で目が覚めてからそうしてもらって知ったことだ。
私もソラ先輩の背中に手を回したいけど、今は縛られていて動かせないからそうすることはできない。
「ううん。なんでもないよ」
「そうなんですか?……でもなんだか悲しそうです」

