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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus

「えっ……」


「それほど乙羽と過ごした時間が楽しかったんだろうな。
いくら気にしないようにしても、顔を合わせるたびにそう思ってしまう」


「…………」


「こうして触れているとキスをして、抱いた時を思い出すな。……乙羽はもう忘れたか?」

「それは……」


私の腕を抑えている手から郁也さんの体温が伝わってくる。

正直に言うと、懐しい。

でも、好きだった頃とは違うものを感じる。

きっと、私の気持ちが変わったからだろう。

今はソラ先輩のことだけ愛すると決めたから。


何を言っても郁也さんのことを傷つけてしまうだろう。

私は口を閉じて視線を横に向けた。


「言えないなら、まだ忘れてないって思っておくからな」

「じゃあ、忘れました」

「なるほどな。忘れてないということか」


「まだ時間が経ってないだけです」

そう言いながら郁也さんの顔を見た。

寂しそうに微笑んで私を見下ろしている。


「可愛いな……」

「そんなに見つめないでください……」


「もっと口説いて、早く恋人にしておけばよかった。
諦めないといけないと分かってるのに、意地悪なことを言って、こうやって乙羽を振り向かせようとしているんだからな」


「意地悪なことって、私にとって不都合な話ですよね……?」
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