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明日に架ける橋
第3章 罪と赦し
「大河さん、花憐。然るべき機関に報告して、法廷で争ったほうがいいかもしれませんね」

文子が大きなため息を着いてそう言った時だった。

「・・・・ママ。もういいよ。僕たち、この家を出て行こうよ」

全員が扉の前に立っていた晴彦に視線を向けた。
頬がこけ、顔色は青白く、げっそりとしていた。花憐が出ていく前とは別人だった。
花憐を外に逃がした罰をずっと受けているに違いなかった。晴彦の襟首からガーゼがチラリと見えた。
もしかしたら、花憐と同じような火傷を負わされたのかもしれない。

「晴彦!部屋にいなさいと言ったでしょう!!」

貴子がつかつかと晴彦の前に詰め寄り、腕を引っ張って応接室から出ていかせようとした。

「もういやなんだよ!この家に来てから、ママはすっかり変わってしまった。昔はもっと優しかったじゃないか。頼むから目を覚ましてくれよ!!」

貴子はおもむろに晴彦の頭を引っ叩いた。

「・・・・気持ちの悪いことを言うんじゃありません!」

花憐は晴彦の手を引き、何度も叩こうとする貴子から離した。

「なんてことを言うんですか!あなたの子供でしょう!?」
「こんな出来損ないの息子・・・・!産まなきゃよかった・・・・!」

晴彦の表情は強張り、体を縮めるのが花憐にはわかった。
花憐は貴子の頬を叩いた。初めて貴子に逆らった瞬間だった。

「・・・・・私はあなたの子供じゃないから、どんなに酷いことをされても仕方がないと
我慢できました。
でも、晴彦さんはあなたが産んだ子でしょう!そんなこと言うなんて・・・・許せない!!」

あまりの怒りに涙がぼろぼろと溢れ出た。
晴彦にも散々嫌な思いはされてきたが、それでも親から蔑まれてきた晴彦が哀れで、
貴子の心無い言動を許すことはできなかった。

清人が花憐の体を押さえつけるように抱きしめた。

貴子がキッ!と花憐を睨みつける。

「自分の子供に何をしようと、私の勝手よ!」

反撃に出ようとした貴子の前に晴彦が立ちはだかった。

「僕のことはいいから。花憐、これはママがお前に油をぶっかけた時のビデオだ。お前にやる」

晴彦が花憐に一枚のDVDを渡した。
花憐は驚いて晴彦からそれを受け取った。
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