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明日に架ける橋
第4章 明日に架ける橋
天気のいい昼下がり、二人は庭にシートを敷いて日向ぼっこをしていた。
清人は寝転がり、花憐はその横に座って紅茶を飲んでいた。

「・・・・俺だけ父親が違うって話、聞いたことある?」

唐突に言われて花憐は内心ぎょっとしていたが、悟られないよう、静かに頷いた。

「その噂は本当なんだ。俺は母親と浮気相手との間にできた子供。本当の父親は他にいる」
「・・・・何をなさっているのですか?」
「もともとは大河の家の庭を手入れしてた植木職人、の見習いだったんだ。ドラマみたいだろ?
家に出入りしている間に、母親にそそのかされたんだ。父はまだ19だった」

どうりで清人が草花に詳しいのだと思った。本当の父親の影響なのだ。

「父はそれはそれは怒ったみたいだね。まあ、俺が思うに’怒ったふり’だ。父なんてそこらじゅうに子供を作ってるんだから、本当は文句は言えないんだ。けど建前では怒ったふりをして、植木職人の父は当然出入り禁止になった。俺は大河の5人目の男子として生まれ、育てられたんだ」
「お父様にはお会いしたことがないんですか?」
「もちろん、大河の父は会わせないようにしたよ。けど、ある日突然向こうから会いにきたんだ。小学校の卒業式だったな。見にきてくれて。俺は常々大河の人間でいることに違和感を感じてたから、自分だけ別の父親だって話はすぐ納得できたね。何より、その人が俺の顔にそっくりだったから」

清人はそう言って笑った。確かに、清人は大河の父とも母とも、どちらにも似ていない気が
していたから、花憐もすぐに納得した。

「それからは毎週のように父に会いに行ったよ。千葉に住んでて、山があって川があって、
いろんなこと教えてくれてすごく楽しかったんだ。俺が本当の父親に会いに行ってるのは、
多分みんな知ってたけど、誰も何も言わなかった。そういうところ、うちはドライだから。
適当に学業や習い事をこなしてれば問題なかったから」
「今も植木職人でいらっしゃるんですか?」
「今は千葉の児童養護施設で働いてる。実は、晴彦くんは今そこで働かせてもらってるんだ」

晴彦の話が出てきて、花憐は驚いた。

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