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明日に架ける橋
第4章 明日に架ける橋
二人はしばらく見つめあった。
清人は少し照れくさそうに笑うと、花憐を引き寄せた。
二人で横になって抱きあう。

「・・・・前に話した保育園のこと、覚えてる?」
「・・・・・?はい。保育園を建てたいってことですよね?」
「やってみようと思うんだ。金儲けじゃなくて・・・・。そしていつか養護施設を設立したいと思ってる。父に・・・・そこで働いて欲しいんだ」

清人の心境の変化に花憐は驚いたが、すぐにとても素晴らしいことだと思いますと言った。

「君にも父に会ってほしい」
「私もお会いしたいです」

青空と、爽やかな風と、緑の香り・・・・。
そして清人のたくましい腕の感触。

花憐を助けに来てくれた時の、清人のボロボロになった姿が頭に浮かぶ。
いつも美しい清人が、全てを投げ捨てて花憐を全身で助けようとしてくれたのだ。
花憐は力をこめて抱きつき、清人の首筋に鼻をこすりつけた。

「・・・・・正式に、プロポーズしなきゃな」

清人はそう言うと、体をわずかに離し、花憐とおでこを合わせた。

「君と出会って、一緒に暮らし始めて・・・・初めて独りが寂しいものなんだって感じた。
君にそばにいて欲しくて・・・・ずっと一緒にいたくて・・・・」

清人は唇をそっと花憐の唇に擦り合わせた。

「俺は君が思ってるような立派な人間じゃない。これからも誠実に生きていけるか自信がない。でも、生涯愛するのは君だけだと誓うよ」

そう言うと、なにやら手に隠し持っていたものを花憐の左手の薬指に巻きつけた。
四葉のクローバーだった。

「結婚してほしい」

以前清人が教えてくれた四葉のクローバーの花言葉が頭に浮かぶ。

誠実、愛情、幸運・・・・そして希望。

鼻がツンとする。花憐はこみ上げてくるものを感じ、瞳を潤ませた。
二人とも、人を愛することにとても臆病で不慣れだ。
それでも二人の前には希望がある。

左手の薬指に、草の冷たい感触の心地よさを感じて、花憐は頷いた。

「私には清人さんだけです・・・・。この先もずっと変わりません」

最初に出会った時に清人に言った台詞は、その重さを遥かに増していた。
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