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私の欠けているところ
第5章 その『嘘』に俺は追い詰められ

黙ったまま前を歩く深海さんの後を追って
俺も階段をゆっくりと上がった

数段先には
深海さんの足元が見えて
また
少し破れたストッキングが
目に入ると
俺は胸が痛んだ


そして
203号室のドアの前に着くと
深海さんは
俺のジャケットを脱ぎ
それを俺に手渡した


「ありがとう。
あったかかった。
10分、待ってくれる?」


「うん。
何分でも」


そう言って
俺はドアの向こうに消えて行く
深海さんを見送り
ひとり
夜空を見上げた

空は月さえも
はっきりとは見えない
曇り空

なんだか
俺と深海さんの心
そのもののようだった


あ、そうだ

香り…

俺は
深海さんの香りを感じたくて
深海さんから
返してもらったジャケットに鼻を寄せてみた

けどやっぱり
何の香りもしない

てゆーか
俺の匂い…

別に匂いフェチという訳じゃない
ただ
今まで付き合った女の子は
みんな男とは違う香りがしてて
大人な深海さんは
どんな香りがするんだろう
と興味があったからだ

その後しばらくして
香りを感じない理由は
判明することになるんだけど…


「おまたせ」


「あ、うん。
あ、いや
そんな待ってないよ」


危ない

ジャケット嗅いでるとこ
見られるとこだった


ドアを開けた深海さんは
髪をひとつにまとめ
服を着替えていて

もうそこには
破れたストッキングも
乱れたブラウスも無かった


「どうぞ…狭いんだけど」


確かに狭そう

想像してたより
アパートも古そうだったし
玄関から見えるその間取りも
学生の一人暮らし
というイメージだった


「ほんとに…
上がっていいのかな」


今更だけど
俺は
深海さんの恋人を
気にしていた


「うん、いいの。
今日は誰も来ないし
それに…
梶谷くんだから」


梶谷くんだから…

俺は友達だと
信用されてるってこと?

それとも





「それって

俺がゲイだから?」




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