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第5章 花随想～哀しみしかない―嬉嬪張氏の生涯～

　皆さん、私は元々、日本を舞台にした歴史・時代物を書いていましたが、そのときでさえ、実在の人物を描いたのは少ないのです。そんな人間が外国の実在人物を描くとくれば、相当な冒険かつチャレンジであるとは想像に難くないと思います。
　しかし、韓流時代小説と勝手に銘打った朝鮮王朝時代を舞台にした作品を書いてきて、そろそろ十年になります。ここらで実在の人物を書いてみたいという気持ちに正直になるべきだと思いました。難関だと承知しつつ、無謀ともいえる挑戦に踏み切りました。
　私なんかより、よほど韓国史に詳しい方はたくさんいます。そんな方から見れば、
―何なの、これ。
　と、思われることも承知で書きました。