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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第8章 不測の淵
 保母尚宮は王女を抱いて、静かに涙を流している。大妃は不穏な予感に胸の鼓動が速くなり、傍らに控える年配の尚宮を見やった。



「このめでたき日に、何故、この者は泣くのだ? すぐに止めさせよ」




 産婆も務めた尚宮はその場に跪いた。
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