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第13章 お城…



勇気君と入れ替わりにシスターが私達の方へと向かって来る。


「ご苦労様でした。片付けて今日は気を付けてお帰り下さいね。」


シスターの言葉で袋詰めされたクッキーを籠に入れて片付けをしてしまう。

明日、シスターからボランティア終了の証明書を貰い学校に提出をすればこの課題は終了になる。

それまではシスターの前で私も咲良ちゃんも猫を被って敬虔な信者のフリをする。


「ごきげんよう…。」


機嫌が悪かろうとなんだろうとこの言葉を吐いて早く教会から立ち去りたい一心で教会を飛び出した。


「では、私はあちらなので…。」


咲良ちゃんは私と反対側へと歩き出す。

丘の上の高級住宅街に住む咲良ちゃんは付属幼稚園からこの学校に通っている。

別に咲良ちゃんから宗教的なものを感じた事はない。

寧ろ、お嬢様で私よりも世間知らずな咲良ちゃんはいつか白馬に乗った王子様が現れて自分をこの退屈な世界から連れ出してくれるとか信じているタイプだ。

ぼんやりと坂道を下りながら自分が来たバス停へと歩いて向かう。


「おいっ!」


また勇気君の声がする。

振り返ると大きなスクーターバイクに跨った勇気君がエンジンをかけずに坂道を下って来る。


「迂闊に話し掛けて来ないで…。」

「お嬢様学校の規則だからか?」

「まあね…。」

「乗れよ。」


勇気君にヘルメットを渡された。


「なんでよ?」

「いいから…、乗れって!教会に見つかりたくないんだろ?」


そう言われてヘルメットを被り勇気君の後ろに乗る。


「掴まってろよ。」


そのまま、勇気君がバイクのエンジンをかけて走り出す。

初めてバイクに乗った。

横乗りに乗ったのにスカートが風で捲れ上がるから気になって仕方がない。


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