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第13章 お城…



「てか…、霧島さん…、元気か?」


勇気君が聞いて来る。

勇気君は霧島さんのファンらしい。

高校生の時の霧島さんに憧れて小学生の時にキックボクシングのジムに通い出したという話をしてくれる。


「霧島さんと同じジムに行きたかったけど、うちからだと内山田ジムは遠いんだよ。」


勇気君にはお父さんが居ないとかそんな話を聞いた。

病気で早く亡くなってしまった後の今はこのお店をお母さんが切り盛りしているからと勇気君が配達などの仕事を引き受けている。


「勇気君って苦労してるんだ。」

「そうでもないよ。VERTEXじゃ俺はルールが違うからトーナメント参戦とは違う扱いになってて霧島さん達に比べれば楽な方だよ。」


勇気君はエキシビション扱いになる。

高校生だから、まだ正式参戦にはなっていない。

だから余計なテレビ出演もなく、比較的にマイペースにやれるという話をした。


「いっけなーい!?」


1時間近く勇気君のところに寄り道をしてしまった。

涼ちゃんが私の家で待っている。


「なんかあんの?」

「人と約束があるの。」

「家は内山田ジムの方?」

「そのすぐ近く。」

「送ってやるよ。」


本当は禁止されている。

だけどここからバスで1時間近く時間を使うなら勇気君に送って貰える方が断然に早い。


「事故…、しないでよ。」

「お前って…、本当に偉そうな女だな。」


商店街の前の道に出て勇気君のバイクに乗る。

勇気君にしがみつくとバイクが風のように走り出す。

僅か30分足らずで内山田ジムが見えて来る。


「こっからは?」

「この道を真っ直ぐ…、次の十字路の先で停めて!」

「へぇへぇ…。」


勇気君が私の家の前でバイクを停めた。


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