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第13章 お城…



「大体、涼ちゃんが悪いんでしょ?どこに出掛けてもサイン下さい、写真をお願いしますって人が集まって来るくらいに目立つくせに…。涼ちゃんが国崎さんと騒がれた時だって私は文句を言わなかったんだから勇気君に送って貰ったくらいで涼ちゃんにそこまで言われる覚えなんかないからね!」


言っちゃいけない事とわかってて涼ちゃんだからと言ってしまう。

蔑ろにしているつもりはないけれど涼ちゃんなら構わないと平気で傷つける言葉が出てしまう。

涼ちゃんを失くすのだけは一番怖いくせに…。


「わかった。ごめん、もう言わない。」


結局、涼ちゃんが折れて私を抱きしめて来る。

狡い自分が嫌いになる瞬間…。


「少しは信用してよ。」

「理梨は信用してる。ただ心配になるだけだ。」


いつものように私の顔に手を当てて頬にキスをしてくれる。


「出掛けようか?」

「お腹…、空いた。」


勇気君の家に寄り道をしたからお昼ご飯がまだだ。


「アウトレットモールに理梨の好きなオムライスの店があるから行こう。」


涼ちゃんが私の手を握る。

いつだって私を甘やかすだけの涼ちゃん。

お母さんに夕食は要らないと告げて涼ちゃんと車で出掛ける。

バイクよりも車の方がいいと思う。


「寒くないか?」


エアコンが苦手な私の為に車内の気温を気にする涼ちゃんは相変わらずの至れり尽くせり。

9月が終わるのに残暑が続く夏…。


「加藤さんはどんな感じ?」

「他の男の話は理梨とはしたくない。」


冗談っぽく涼ちゃんが言う。

加藤さんにまでヤキモチ?

なんとなく笑ってた。

車は海岸線に出てアウトレットモールに向けて快適に走り抜ける。


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