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第13章 お城…



田舎町の海…。

漁師町だから石垣島のような綺麗な海岸という景色には感じない。

どんよりとした海…。

夏が終わり波が高くなったと感じる。

海と崖、畑と田んぼ、そんな何もない景色の中を真っ直ぐに伸びた道をのんびりと車で走る。

そんな町でも温泉目当てにやって来る観光客が存在する以上はアウトレットモールなどの大型商業施設が最近になって増えて来た。

商業施設の充実に伴い、少しずつは人口が増加傾向にある町…。

涼ちゃんの車がアウトレットモールの駐車場へと滑り込む。

手を繋ぎ、お目当てのオムライスの専門店へと向かう為にモールの中を2人で歩く。

ここでも何人かの人が涼ちゃんを見ている。

嫌な予感がした。

モールの中央の建物の壁に埋め込まれた大型モニターのディスプレイにアウトレットモールに入るショップのCMが流れている。

夏物売りつくしバーゲン情報などのCM…。

そんなCMの中に涼ちゃんのアップが映し出され国崎さんと見つめ合い微笑み合うCMまでもが流れ出す。


「あのCM…。」

「先週くらいからテレビでも流れてる。年内いっぱいのCMだから…。」


私の手を握る涼ちゃんの手に力が入る。

私だけだと涼ちゃんが伝えようとする。

それでもそのCMを見た人が涼ちゃんを指差しながら何かを言っている。


「すみません、RYOJIさんですよね?サインとかお願い出来ませんか?」


子供連れの若いお母さんが子供が欲しがるからを全面に出して涼ちゃんに話し掛けて来る。

涼ちゃんは答えずに黙ったまま、そのお母さんを無視するようにして歩き出す。


「ちゃんとサインは出来ないって説明をしないの?」

「説明をしても無意味だろ?俺は見世物じゃない。」


バッグからサングラスを出して涼ちゃんが顔を隠すようにする。


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