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第13章 お城…



「今も、理梨はあの城に行きたいと思う?」

「涼ちゃんが連れてってくれるの?」

「連れて行くから俺と結婚してくれ…。」


3度目のプロポーズ…。


「チャンピオンになったらね。」

「負ける訳ねぇよ。」


あの頃と違い自信たっぷりに答えて来る。

黒かった髪には目立つ金のメッシュを入れるようになった。

綺麗な顔立ちだけど女の子みたいだった涼ちゃんが不良っぽく見せないとリングの対戦相手に馬鹿にされるからと髪を染めるようになった。

サラサラの髪だからいつも長めにしている。

耳にかかる髪…。

綺麗な顔立ちは昔のまま…。

なのに今更、ドキドキとする。

白馬の代わりにお父さんの会社で買った白い車で私をお城に連れて行く王子様。

私には甘いだけの王子様で私には昔と変わらない情けない姿を見せてくれる犬男。

そして車は約束のラブホテルの前に着く。


「これ…、やばくねぇ?」

「さすがにこれは…。」


2人して引いた。

老朽化があまりにも進み、お城を通り越してお化け屋敷になっている。

赤い尖り屋根は茶色く斑に変色をし、看板は海風に晒されて錆だらけになってしまったラブホテル。

壁には枯れた蔦が張り付き、入り口は中が薄暗く安っぽい自動扉が見える。


「理梨は入りたい?」

「ちょっとこれは遠慮をしたい…。」

「だよな…。」


2人で爆笑してから別のホテルに移動をする。

10年以上も経った約束は不可能なんだと2人とも理解が出来る大人になっていた。

ホテルに行きたいという気持ちよりも、あの日の約束を果たそうとする涼ちゃんと、それを受け入れる私が笑いながらホテルを探す。

お城とはいかないけれど新築の今風のラブホテルを見つけた。


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