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第14章 相手がいない…



シャワーで汚れを流すと大きなバスタオルで私の身体を包むようにして拭いてくれる。

部屋に付いている自販機でとりあえずの下着を涼ちゃんが買う。


「何…、食べたい?」


着替えをしながら涼ちゃんが聞いて来る。

なんとか立てるようにはなったけど身体はまだ気怠くて食欲が湧かない。


「あんまり…、食欲がないよ。」

「なら…、寿司にするか?」


涼ちゃんは赤身のマグロのお刺身しか食べない。

いつも、そう…。

涼ちゃんにスタミナを使わせたのに、涼ちゃんは私の為の食事しか考えない。


「それでいいよ…。」


それを涼ちゃんが望むのなら私は涼ちゃんに従うと決めた。

今の私に出来る事はなるべく我儘を涼ちゃんには言わない事だけ…。

それでも涼ちゃんは私を優しく抱きしめてくれる。


「やっぱり…、早く理梨と暮らせるようになりたい。」


未だに私に必死な涼ちゃんに笑ってしまった。

涼ちゃんとうちの近所の行き付けになっているお寿司屋さんでご飯を食べる事にする。

ここのお寿司屋さんのマスターが涼ちゃんと霧島さんのファンだから、涼ちゃんがいちいち頼まなくても涼ちゃんが食べるものをわかってくれている。


「涼ちゃんは刺身だけで理梨ちゃんは茶碗蒸しと盛り合わせでいいのかな?」

「少なめの盛り合わせで…。」

「そんな事を言ってるから理梨ちゃんは小さいままなんだよ。」


お寿司屋さんのマスターまでもが私の事を笑って子供扱いをする。

涼ちゃんに甘やかされているだけの女の子。

近所でもそれは有名らしい…。


「小さいって言わないで下さい。」

「小さいっていうよりも、痩せてんだよ。うちのカミさんなんか理梨ちゃんの倍はあるぞ。」


お寿司屋さんの女将さんは確かにボリュームのある人で、うちのお母さんの同級生だから仲がいい。


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