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第14章 相手がいない…



学校では相変わらずの退屈を極めている。

急いで帰り、涼ちゃんの為にジムに行く。

ジムでは会長さんと霧島さんが難しい顔をして話し合っている姿が見える。

篠原さんは加藤さんとリングに居る。


「涼ちゃん…は…?」


霧島さんに聞いてみる。

霧島さんの代わりに会長さんが答えて来る。


「ロードをすると言って1人で飛び出した。」


険しい顔をする会長さん。


「何が…、あったんですか?」


ロードには必ずサポートの誰かが付く。

1人で行く事は事故や肉離れなどの怪我をした時に困る事になるから会長さんは1人では行かせない。

私の質問に会長さんが息を吐いて答える。


「今、霧島は涼二の相手が出来ない。だから加藤を涼二に付けるようにしてたが、加藤じゃ涼二の相手にならないんだ。それを不満だと言って涼二の馬鹿がジムから飛び出しやがった。」


会長さんがもう1度、深いため息を付いた。


「霧島さんが相手を出来ないって?」


霧島さんの体調に問題があるのかが心配になる。

霧島さんの顔を見上げると霧島さんが優しく笑う。


「今は涼二の方が強すぎて、減量中に涼二の相手をするのはもうキツいんだよ。」


肩を竦めて霧島さんが説明をしてくれる。

それでも涼ちゃんは練習が足りないと言ってジムを飛び出してしまった。

そういう無茶をするところは変わっていない。

小学生以下の子供の場合、ジムではスパーリングなどの危険な練習を認めていない。

涼ちゃんは練習が足りないと言っては家に帰ってからも人の何倍も練習をする子だった。

無茶をすれば身体を壊すだけだと言われても涼ちゃんは練習を止めようとはしなかった。

その全てが私の為だとわかっている会長さんと霧島さんが私に涼ちゃんの説得を望んでいる。


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