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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
「怖いと正直に言っても、構いませんよ…ほら、こんなに震えている」
「いいえ…」
「私が近付くのが、嫌なのですか?嫌なら、大声を出したら良い」
「いいえ!いいえ…貴方が怖いのでは無いわ!」
「え?」
男は、夫人の言葉に戸惑いました。

「私は、私が怖いの…貴方の事が怖いのなら…触れられるのが、嫌なら…そうだったら、良かったのに…!」
「何を言って」
夫人が言い募るのを止めた方が良いのかどうか男が迷っていると、夫人は苦しげな声で、絞り出すように言いました。

「もう一度、お会いしたかったの!!最初にお会いした時から、ふとした時に、またお会いできるかしらと思ってしまうのが、止められなくて…」
男が思わず手を伸ばすと、今度は彼女は逃げずにこちらに体を寄せて来ました。

「そんな事を思ってはいけないって、分かってるのに…もう一度だけ、貴方に触れて欲しくて…!」
夫人はそう言うと、指先で花びらのような唇に触れました。
男がその温かく柔らかな体をそっと抱き寄せると、夫人はおずおずと抱き返して来て、か細い声で呟きました。

「…初めてお会いした日から、ずっと…貴方を忘れられた事など、一瞬たりとも有りません…」
夫人は言葉を切って、男の胸に一度顔を埋めました。それから顔を上げ、涙を湛えた目で男をまっすぐ見上げました。

「ごめんなさい…お詫びは、口実です…どうしてもお会いしたかったの、ずっと苦しくて…ごめんなさ…」
男は夫人をきつく抱き締めて、涙と共に謝罪の言葉をぽろぽろ零す愛しい唇に、唇を重ねました。
やっと触れられた、思いが通じた喜びの分も、思い焦がれた苦しい日々の分も、何度も繰り返し重ねました。




「私も、ずっと貴女にお会いしたかった。お会いして貴女に触れたいと、思っていました」
「はい…」
口づけを繰り返した後、二人は長椅子の上で、離れ難く抱き合っておりました。

「触れても、宜しいですか?」
夫人がこくりと頷くのを確認した後、男は立ち上がって扉に鍵を掛けました。
「…そうだ。今日は、お待ちになってる方がいらっしゃるのでしたね」
それならば後日また、と思いましたが、またいつ会うことが出来るのかは、夫人にすら分からないのだと気付きました。夫人が自由に外出することは、難しいでしょう。
どうすべきか迷っていると、夫人が淋しそうにうっすらと微笑みました。
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