この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
「こちらのご当主様でいらしたのですね。私、物知らずで…失礼致しました」
ちょこんと長椅子に納まった姿は姿は愛らしく、とても人妻には見えないな、と、男は詮無い事を思いました。

「いや、謝らなければならないのは、こちらの方です。先日は、大変失礼いたしました」
「いえ」
「今日は、お一人ですか?…ご主人は」
「…主人は、体調を崩しておりますの。私は名代でご挨拶に参っただけで…侍女が待っていますので、すぐ失礼させて頂きますわ」

男は夫人が早口になった事で自分が警戒されていることに気付き、苦笑しました。

(部屋に誘った男と平気で二人っ切りになるなんざ、相変わらず危なっかしいと思ったが…この前の一件は、効いた様だな)

先日の不埒な悪戯は、夫人に用心の必要性を教え込む役には立った様でしたが、謝罪はしなければなりません。男は黙り込んだ夫人に向けて、口を開きました。

「先日は、大変な失礼を致しまして…」
「いいえ」
「本当に、申し訳ございませんでした」
「そんな、」
「言い訳になりますが、ご結婚されているとは存じ上げなかったもので」
「…そう、ですか…」
話す度に短く相槌を打っていた夫人の声の調子が、そこでほんの少し変わったのに気付き、男はおや、と思いました。

「私こそ、大袈裟に騒ぎ立てて…失礼致しました。娘の頃から、そういうお遊びには、慣れておりませんので…」
「遊び?」
「ええ。お遊びのお相手になるようなお若いお嬢さんを、探していらっしゃったのでしょう?お話を伺って、ご事情は、分かりましたから…もう、お気になさらないで」

(遊びだと…?)
夫人の口から出た「遊び」という言葉に、男は胸を刺されたような気がしました。

「どうぞ、こんなつまらない年増の女をからかったことなど、お忘れになって。私も、忘れますから」
遊びだと言われた上に忘れろと言われ、男の中で燻っていた何かに火が点きました。

「…あれが、遊びだったと?…貴女を、忘れろと?」
「え」
「結婚なさって居ようが居まいが、関係無い。遊びなんかじゃない、私は本気で貴女の事を」
「当主様…」
男が椅子から立ち上がり、優しげな口調をかなぐり捨てて長椅子に歩み寄って畳み掛けると、夫人は身を竦めました。

「…私が、怖いですか?」
「いいえ、っ」
手を伸ばして頬に触れると、夫人は固く目を瞑り、首を振りました。
/58ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ