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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
「ええ。『少しは頭を使ってください。全く、お二人に任せていたら、あっという間に二度と会えなくなってましたよ』って、泣いてる私に追い討ちまで」
「泣いたのですか」
「あ」
問いかけると、女はぴくりと小さく身を竦めました。

「…ごめんなさい。でも、ほんの少しだけ」
「謝らなくて良い」
抱き寄せるとぎゅっと抱き締め返して来るこの女が、会えない切なさで一人で泣いていたと言うのです。それを思うと、男は女が愛し過ぎて狂おしくなる程でした。

「私も、恋しかった」
「ええ…」
「顔を見せて」
男を見上げた女の額に、男は軽く口づけました。

「うん。今は泣いていませんね」
「…ええ…っ」
口づけを額から頬へ、耳へ、首筋へ、胸へと落としながら体を弄ると、女は目を伏せて、吐息に色を滲ませ始めました。

「せっかく泣いてらっしゃらないのに恐縮ですが、もう一度貴女を泣かせて宜しいですか?」
「んっ…ええ…たくさん、泣かせて…」
「仰せの通りに」
その日二度目の交わりは、女のよがり泣く声で、艶やかに濃く彩られました。




「クロウ、今日俺に来客が有る。大丈夫だとは思うが、もし万が一俺の不在の間に来たら、お待ち頂いて置いてくれ」

その日、男は朝からそわそわして居りました。
女が近くに出掛けてくる用事があると聞いた男は、家に女を呼びました。
人に知られる事を恐れた女は難色を示しましたが、男に加えて侍女も、意外に悪くない話だと女を説得しました。
男の家には家令と使用人が居りましたが、全員、一切の無駄口を叩かない様に躾られて居りました。家業に関わる、口外してはならない話も時々有るような家でしたので、余計な事を言いそうな人間は働く前に選別されて、家に入れない様になっておりました。
それで、今日は朝から女が来るのを待っていたのです。
来るのは午後早くと言われては居りましたが、時間は用事との兼ね合いで前後する事がありました。男は念の為、その日の午後一番に玄関で行き会った家令に、来客が有ることを伝えて置こうと思ったのです。

「畏まりました…ですが、当主」
「ん?」
家令は背筋を伸ばし、男の目を見て言いました。

「私は、この家に仕える者で御座います。ですので、何方様の仰る事で有れ、この家の不利益になるような事は、致しかねます。それはご承知置き下さい」

その返答を聞いた男は、微かに眉を顰めました。
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