この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
秋も深まりました。
男は友人の館に、仕事の話に来ておりました。
開墾の話は順調に進んでいて、このまま行けば草木が茂る季節の前に、土地は整いそうでした。

「浮かねぇ顔だな」
「…そうか?」
男は、いつも陽気で軽口を叩く友人の口数が、今日はやけに少ない事が気になりました。

「奥方の体調が悪ぃのか?以前、寝込んでたよな。今度もそうなのか?」
「いや…それは、大丈夫なんだが…」
友人の奥方は、二人目の子を身籠もっている事が分かったばかりです。最初の妊娠の時、悪阻が酷かったので、友人の心配はそれかと男は思ったのですが、杞憂であった様でした。

「そりゃ良かった。しかし、お前が塞いでると、天変地異でも起こるんじゃねぇかって気になるな」
男がわざと軽く言うと、友人はぼそりと言いました。

「…隣地の領主夫妻の事を、憶えているか?」
「……ああ」
男は一瞬ぎくりとしましたが、素知らぬ顔で友人の話の続きを待ちました。

「夫人に、良からぬ噂が立っている。夫以外と通じていると…相手が誰かは流れて来ないから、夫だけが騒ぎ立てている根も葉もない噂なのかもしれないが…」
「そうか…何で、それを俺に言う?」
「…お前も、そういう下らぬ事に巻き込まれない様に、早く身を固めろ。その方が、仕事上でも都合が良い」
「余計なお世話だ」
男は友人との会話を打ち切ろうとしました。
しかし、心の中では、女の置かれた状況への心配がむくむくと湧き上がり、居ても立っても居られない気持ちになっておりました。

「…その、夫人の話だが…」
「何だよ」
友人は男がその話題を打ち切りたいのと裏腹に、再び話を続けました。

「夫に、完全に外出を止められて軟禁されてるって噂だぞ。最近見ないだろう?」
「……」
確かに、最近連絡が途絶えて、心配しておりました。もしや、連絡係を務めてくれていた侍女も、一緒に軟禁されているのでしょうか。

「確かに、夫人は若くて美しい人だ。良からぬ噂についてはともかく、夫については軟禁の件以外にも、夫人がお気の毒に思われるような噂も色々有る…だが、他人にどうにか出来るような事じゃない」
「他人…」
「ああ、他人だ」
ぼんやり呟きを返すと、友人がはっきりした声で断言しました。

「他人だろう?夫の有る女性だ、夫以外の男がどう思おうが…たとえ、夫人との間に何かが有ろうが、所詮は他人でしか無いんだよ」
/58ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ