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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
数日後。
男は、珍しいことに、自ら望んで宴席の場に臨んでおりました。
「どういう風の吹き回しだ?」
「別に」
「いい傾向だな。どちらが早く纏まるか、賭けでもするか?」
「馬鹿言うな」
男は領主の息子に悟られないように気を配りながら、先日助けた女性を密かに探しておりました。
あの夜拾った飾り櫛は、おそらく彼女のものでしょう。
酔漢に絡まれて髪を直しておりましたので、十中八九間違いありません。
内心そわそわと辺りをちらちら見回していた男は、見憶えの有る姿が部屋から廊下に出て行こうとしているのを目にして、はっとしました。

「ん?どうした?」
「少し席を外す」
「どこへ行くんだ?脱走するなよ、帰って来いよー」
男は毎度同じようなことを言って来る友人にお座なりに手を振ると、女性の後を追いました。

「あの…待って下さい、そこの方!」
先日助けた女性を呼び止めようにも名前を知らないことに気付いた男は、うろたえながら声をかけました。
「はい?私でしょうか…あら!」
女性は訝しげに振り向きましたが、男の姿を認めてぱあっと破顔しました。
「先日の…!先日は、ありがとうございました!私、きちんとご挨拶も出来なくて、大変な失礼を」
「いえ、それはもう…それより、これを落とされたのではと」
「まあ!!無くしたと思っておりましたのよ!!」
女性は感激に目を潤ませて、飾り櫛を手に取りました。

「拾って下さったのですか?ご親切に、ありがとうございます。母の形見なんですの…無くしてしまった物と、すっかり諦めておりましたわ」
「とても大事なものだったのですね。お返し出来て良かった」
女性は櫛に頬擦りせんばかりに喜んで、心からの笑顔を見せました。

「ええ、本当に…先日のお礼もきちんとして居りませんでしたのに、またお世話になってしまいましたわね。本当に、どうもありがとうございます」
(クソ…やっぱり、可愛いな…)
恥らうように微笑む様は、男の目には満開の林檎の花のように美しく映ります。目が離せずにじぃっと見詰めてしまっていたことに気が付いてはっとして、慌てて目を逸らしました。
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