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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第8章 ツンデレ委員長は世間知らず
 俯く彩夏の顔は、少しだけ赤かった――テレてるのだろうか。

「わかってるよ……仕方ないよね、現実的な話じゃ無いもんな……」

 真吾はきまり悪そうに薄く笑むと、それ以上は何も言えなくなった。
 二人の間を沈黙が襲い、バラつきのある足音が廊下に響く。
 まだ午後6時を過ぎたばかりとはいえ、季節は11月半ば。日が落ちるのはあっという間で、窓の外はすっかり夜の帳が下りて既に暗い。
 奥に向かうにつれ闇を深めている廊下は、昼の騒々しさが懐かしく思えるほど静か。その静けさが余計に薄暗さを増幅させているような気さえする。

「滝川くんってさ……」

 隣を歩く彩夏が唐突に口を開いた。
 彩夏の方に顔を向けると、彼女も真吾を見ていた。思い切り目が合ってしまい、ほんの少しだけ真吾にテレが浮かぶ。

「もっと無口で暗い人なのかと思った」
「はっきり言うね。まあ――そう思われても仕方ないかな。教室じゃ僕は殆ど話さないもんね」

 彩夏の総評にホモが混じっていない事に真吾はホッとした。
 中学生までその流言飛語には迷惑したものだ。高校生活までこのデマに踊らされるのはご免である。
 誰が流したものなのかはもう確かめる術はないが、デマの所為で女の子は近寄らないし男の先輩に変にベタベタ絡まれるし、いい思い出が全くない。
 お陰様で、肉体はそこそこ鍛えられていた。
 何故かと問われれば、男に襲われても逃げ出せるように鍛えたに決まっている。男を狙う先輩なんて運動部系のヤバいのが殆どだ。

「割と話すし、意外と話しやすいから少し驚いたわ。何で普段からそうしないの?」

 どうしてと問う彩夏は本当に疑問に思って聞いているようだった。
 会話の苦手な人間の心理なんて、ある程度は決まっていると思うのだが。
 人と話す事そのものが苦手か、極度の人見知り。
 どうしてと感じるのは、できる事を当然の事と認識しているからだ。
 委員長である彩夏は対面で臆するような事はきっと、無いのだろう。臆する事もなく他人と接する事のできる人が、羨ましいと真吾も思っているし、そうなりたいとも思ってはいる。
 とは言え思っていればできるようになるというものでも無い。

「別に猫被ってるとかじゃ無いけど、打ち解けてない人と話すのは苦手なんだよね……」
「ふ~ん……人見知りなんだ。普通に話してるけど私とは打ち解けたの?」
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