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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第13章 妹の様子がおかしいのだが
 疑いたくなるような、適当さを感じる素振りで答える美里。

「本当に視えてる?」

 もう一度聞くと、美里は戸惑いながら頷いた。

「何となく……かな。黒いモヤモヤしたのが……ねえ、いったい何なの?」

 何なのと怪訝そうに問う美里に何も答えずに、真吾は起されたままの美里の身体をベッドに横たえた。

「お兄、あの……パジャマは……?」

 剥き出しの乳房を、恥らいに頬を染めて手で覆い隠す美里。胸に触れた事で僅かながらに意識でもしたか、女の子らしい恥じらいの姿を見せる可愛い妹に、真吾は内心ドキリとさせられた。
 その感情をおくびにも出さずに、真吾はベッドに平然と上がり込んだ。

「えっ……お兄ちょっと、何で……!?」

 ベッドの奥側に横たわる真吾を、美里は目を丸くして凝視する。
 それだけでも驚きなのに、今度は服を脱ぎ始めた。
 無言のままベッドで脱衣を始める兄の異常としか取れない行動を、妹は絶句して見守る。もう何を言えばいいのかわからないという、動揺と焦りに縁取られた美里の表情を真吾は無視した。
 全てを脱ぎ終えた真吾を直視できない美里は、真吾に背を向ける――背後を向いた美里の細い背中を、そっと後ろから真吾は抱きしめた。
 兄の暖かい剥き出しの胸板が背中に当たり、美里の肩がビクリと小さく跳ねる。

「え?……ええ~!?お、お兄……何して……」

 もう何が何だかわからない――突然の抱擁に美里は慌てふためいた。顔は火を噴いたように熱くなり、頭は酷く混乱する。美里は何が起きているのか理解できずに、頭は空っぽになった。

「な……何、どういう事、何やって……るの……?」

 慌てた声はどんどん尻すぼみに小さくなっていき、やがて困り果てたような弱々しい響きになっていく。
別に困らせようと黙っている訳ではなく、真吾も決心がつかないのだ。
 今まで築き上げてきた信頼関係を壊してしまうかもしれない恐怖。
 兄妹としての親愛を失ってしまうかもしれない事への不安。
 血の繋がった妹を犯すのだから、怖気づきもする。美里は確かにブラコンで、少なからず好意を持ってくれているだろう事は真吾も理解してる。
 だがそれは、兄に向ける好意でそれ以外ではないはずだから。
 しかし悠長な事を言ってられないのも事実だった。
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