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身代わりの夜
第14章 熱愛目出し帽
 男に背後から抱かれ、両方の乳房を揉みしだかれている素っ裸の女。

 両脚はしどけなく投げ出されて、股間の黒い翳りもよく見えた。
 指の間で白い乳肉が、むにゅり、むにゅり、と形を変える。
 物欲しげに勃ったピンク色の肉実が、なんともいやらしかった。

 それより卑猥なのが、女の表情だった。

 ウェーブヘアがほつれた頬を上気させ、眼をとろんとうるませたその顔は、性の恍惚に蕩けきって知性の欠片もない。

 亜沙子の肩の後ろに、フェイスマスクの顔があった。
 鏡の中で眼が合った。
 ふたつの穴の奥の血走った眼は、なぜか涙ぐんでいるように見えた。

 勃起乳首をつままれると、鏡の裸身も淫らにくねる。

「ああ、なんていやらしい裸なんだ」

 不明瞭な声だ。

 亜沙子の秘部を舐めるために出していたはずの口元を、ふたたびマスクで覆っていた。
 片方の手が股間に伸びてきた。

「ここも、こんなに濡らして。
 ぐちゅぐちゅ、音までたてて」

「ひいっ……もう虐めないでよう」

 指を鉤型に曲げ、わざと音がたつように入口付近を掻き回す。
 股を閉じようとしたが、次々と湧き出す愉悦に翻弄されて、ろくに力が入らない。

 すらりとした脚がシーツの上でむなしくのたうった。

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