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身代わりの夜
第14章 熱愛目出し帽
 想像が暴走をはじめる。

(ああっ、古森くん、見ないでよ……
 わたしの恥ずかしい姿、見ちゃいやっ)

 胸の裡で叫びつつ、もっと見てくれとばかりに、指を躍らせてしまう。

 その動きひとつひとつが、めちゃくちゃ感じた。
 信じられないくらい、肌が敏感になっていた。
 性感のツボに軽く触れただけで、痺れるような愉悦が背筋を駆け抜ける。

 くちゅん、くちゅん、と音がたっても、とめられない。
 クリトリスの皮を剥き、こりこりした肉芽に花蜜をまぶして、よがり泣いた。

(これじゃあ、ほんとに淫乱じゃないの)

 それなのに、鏡の中の自分から眼を離せない。

(あ、あんたなんか……)

 覆面男に後ろ抱きにされた女をにらんだ。

(部下の歓心を買おうとオナニーする最低の女よ。
 男に捨てられるのも当然だわ)

 自虐の念すら性感を増幅させる。
 強制されたわけでもないのに、残された手を胸にやり、硬く尖った乳首をひねり上げた。

「ひうあああああっ」

 自ら与える激悦に、ミディアムヘアを振り乱してのけぞった。
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