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身代わりの夜
第14章 熱愛目出し帽
 頭の中の村木がふんと鼻で笑った。
 お前のことなら何でもお見通しだとでも言うような態度に、静かな怒りが湧いてくる。

(あんたなんかに、な、何がわかるのよっ)

 陰部に押しつけられていた右手を、そろそろと動かす。
 肉裂にそって中指を縦にすべらせた。

 軽い愉悦が生じる。
 軽く力を入れただけで、にゅるりと粘膜に包まれた。
 熱く潤っていた。玉子の白身を思わせるヌメリ具合に、思わず赤面する。

 小指を立て、人差し指と薬指で肉唇を左右に広げて、中指でデリケートな粘膜をこすりたてた。
 手の甲に浮いた筋が、微妙な指の動きを伝える。
 湖面の波のように、ぞわぞわとした快感が下腹部全体に広がっていった。

「貴野課長……亜沙子さん……ああ、なんてはしたない」

 男の声はかすれていた。
 鏡の中の上司の恥態を凝視している。
 背中に荒い息づかいを感じた。
 亜沙子の息も乱れてくる。

「古森も眼を丸くしてますよ」

「はああっ、古森くんが……」

 村木の姿が消え、真面目に仕事にはげむ部下の顔に変わる。
 いつもおどおどしている瞳が欲情に燃えて、亜沙子のオナニー姿に釘付けになっていた。
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