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身代わりの夜
第3章 かんちがい口唇奉仕
 ややあって、耳の傍で亜沙子が囁いた。

「酔っぱらって、みっともないとこ、見せちゃったわね」

「いえ……」

 亜沙子の指が啓太の背中を撫でてくる。
 ワイシャツを通して、デリケートな指の動きが伝わる。
 背中に文字でも書くような動きに、首筋の毛がぞわぞわと逆立った。

「今日はありがとうね。酔っぱらい上司の相手をさせて。
 うんざりしたでしょ?」

「あ、あの……ちっとも嫌じゃありません。
 貴野課長は、とっても素敵な女性ですから」

 気持ちが昂り、自制心が摩耗していたのだろう。
 ずっと胸に秘めていた思いを、素直に口にできた。


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