この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第3章 雪泥鴻爪

「あ、お姉さん、ちょっといい?」

 下座付近の客のところに料理を出して戻ろうとしたとき、近くにいる五十代くらいの恰幅のよい男性に呼び止められた。

「いかがなさいましたか」

 なにを言われるだろうかと内心びくびくしながら、潤は着物の膝を落とし微笑んでみせた。
 男性は、細長い付出皿に少量ずつ取り合わせた八種の料理のうち、左から二番目の一品を指差す。

「これはなに?」
「そちらは、旬のカマスを若狭焼きにしたものでございます」
「へえ、カマスかあ」

 男性は感心したように呟き、「ありがとう」と笑った。潤も柔和な笑みを返し、胸を撫で下ろす。
 それと同時に、美代子なら、という思いが浮かんだ。彼女なら、こうして不意に料理について尋ねられたとき、食材の特徴や味についても詳しく説明することができるだろう。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ