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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 可愛いとはこの島国の形容詞で、いとおしさや趣き深さなど、何らかの意味で愛すべしと感じられる場合に用いられる。他にもかわいそうと関連するという考え方もある。
 ふん、確かに辞書を読み上げているようだと、今更ながらに自分で自分がまるで辞書から作られたのではないのかと思うくらいに気持ちが悪かった。今まではそんなふうに考えたことも感じたこともなかったし、あの男に教科書通りの言葉だと指摘されても腹が立つこともなかった。今までそれが自分にとって当然のことだと思っていたからだ。しかし彼女と暮らすようになってまだ三日目に入ったばかりだというのに、自分の言動が普通じゃないような気がしてならない。これは良い変化なのか将又悪いのかも理解できなくなっていた。そのような中で彼女はようやく落ち着いたのか、まだ顔は赤くさせたままだが、先ほどの意味の分からない行動について説明をしてくれた。
「間接キス……?」
「そ、そうです……」
 間接キスとは人が口を付けた所に違う誰かが口を付けることによって間接的にキスをしたと捉えることなのだそうだ。さすがにこれの知識を俺は持ち合わせていなかった。なぜならこのような言葉を習う教科がなかったから。人体のことや精神的な内容のものはあっても、俺は『ヒト』に関する研究はしていて心理的なことにも少し知識はあった。しかしこの心理的なことに関してはあまり深く研究も知識も必要としていなかった。それはきっと、さほど興味がなかったからなのだと思う。
 俺は説明を聞いた後にテーブルの上に置いたペットボトルの受け口を見つめる。俺が飲む前には三分の一ほどを彼女が飲んでいたそれを……。
「間接キス、それには唾液も含まれるということか……」
「えっ!?」
「唾液が含まれるということは、あんたの体内の細菌がある。あんたは今まで虫歯になったことはあるか?」
「え、えっ!? な、ないですけれど……」
「なら良かった、俺が虫歯になることはない。プラークは定期的に取り除いているか? それに舌表面の最優勢菌種、頬粘膜および歯牙表面、歯周病などの……」
「だから、口内に問題は今までなかったですって!」
 また顔に赤みがさしているが、恐らくこれは怒りの色だろう。俺もなかなか判断ができるようになったじゃないかと自分で自身を心の中で褒めてみる。
「と、とにかく! この神宮にお参りにいきましょうねっ!」
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