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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 そして二礼二拍手一礼をすると、すぐにその場から離れようとした。
「あの、願い事はされたんですか?」
 一円玉を五枚投げ入れた私が彼を呼び止める。と、彼は少し面倒臭そうな動きで今いた場所へ戻って来た。
「何を願う?」
「えっと、だから今朝初日の出に向かって願ったこととか、他にも何かあったら……」
「この神様ってのは、そんなにたくさんの願い事を叶えてくれるのか? 心の中の願いを本当に聞き入れてくれるのか? 神様はどうやってその願いを願う相手に伝えてくれるんだ?」
 彼のその言葉に私は思わず喉を詰まらせそうになった。
 私が心の中で神様にこう願った。
 彼が私のことを好きになってくれますようにと。
 今までの感じだと、彼は私に興味があるとか、自分の相手であるからという何かしらの義務感しか持っていないようだった。だから一緒に暮らす中でもっと私に興味を持ってもらって、その先には好き…… ううん、愛してくれますようにと願ったのだ。しかし確かにこれは神様に願っても彼に伝わるかどうかは不明だ。
「この神様に願うよりも、直接相手に言葉にした方が願いは叶うんじゃないか?」
 彼のとどめの言葉に私は更に喉を詰まらせそうになる。喉奥に引っ掛かった飾り言葉がどうしても出てこない。
 神様は空気のような存在だから、願うものの心の中を見通すこともできるし、こうして願うことによって神様との信頼関係を築いてうんぬんかんぬん…… こういうことが言いたかったのだけれども、彼の言葉があまりにも的を得ていてその言葉は出せそうになかった。
「あのぉ…… これは昔からこの島国で行われていた儀式のようなもので…… ほら、言いたくないこともあるでしょう? 秘密にしておきたいこととか、まだ相手に知られたくないけれどこうなったらいいなって思ったりしたことを神様に告白することで心の中がすっきりしたりとかするじゃありませんか」
 ようやく言葉にできたのがこれ。何とも言い訳がましいなと思いながら苦みを含ませた笑みを浮かべながら答える。しかし彼は納得をしていないようだ。初めて出会った頃のように眉間に皺を寄せると、いきなり私の腕を掴んで歩いて行く。
「ちょ、ちょっと! どこに行くんですか!? 私、おみくじも引きたいのに!」
「あの大吉やら吉やら中吉やらいろいろあるやつだろ? あんなのが当たるわけがない」
 

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