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Eternal
第6章 Reunion-再会-
「でも、いいおみくじが出たら気分がいいじゃありませんか!」
「願いは神様に叶えてもらうもんじゃない。自分で勝ち取るものだ」
 何でも言葉にしたり行動に移したりしないと前進することはないと彼は最後にそう言い放った。
 神宮を出て人通りの少ない道を彼に引っ張られながら歩く私。『ヒト』は感情に振り回される生き物だ。だから目に見えないものに頼ったり願ったりする。そうすることで気持ちが安定してくるのだ。でもそれを今彼に伝えてもきっと理解はしてくれないだろう。
 こういうのを気持ちのすれ違いっていうのかな――?
 腕を掴まれて引っ張られるがままに歩いていると、急に彼が立ち止まった。
「どうしたんですか?」
 彼の背中に言葉を掛ける。彼は背を向けたままで動かなくなって数秒。私は何度か声をかけてみたが彼が反応してくれないから、彼の目の前に回り込もうとしたその時、彼の少し前に一人の男性が立っているのに気付いた。その姿を見た私は唇を揺らした。
「お父さん……」
 最後に出逢った時よりも老けてしまっている父親である男性が笑顔を浮かべてそこにいる。昨日街中で見かけた父親に間違いなかった。
「二人とも、元気そうだね」
 そういう父親の周りに違和感を私は感じた。そうだ、母親と呼ばれる女性がいないのだ。それを聞こうとした時、
「あんた、あの女はどうした?」
 私の代わりに彼がその言葉をかけてくれた。いや、してくれたのではない。彼もまた父親であるこの男性と顔見知りであるらしく、そのことに私は驚いてしまった。そういえばさっき、この男性は”ふたりとも”という言葉を放っていた。だからこの男性は私のことはもちろんだが、彼のことも知っているのだ。
「彼女は……」
 男性はそこまで言うと、顔の中の表情に歪みを作り出す。その中には苦しみ、悲しみ、絶望、そして何かに対する恨みのような黒いものを感じた。
「彼女は、殺されてしまった…… その後、死体が見つからないんだ」
 探しても探してもどこにいるのかは分からないと男性は言う。殺されたのは確実らしいのだが、その後のことが全く分からないのだと言う。女性が殺された時、この男性も殴られて刺されて瀕死の状態であったのだという。そして気が付くと自分は病院の集中治療室のベッドの上で横たわっていたのだそうだ。
「何だ、逃げ切れなくて捕まったのか?」
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