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Eternal
第3章 :confusion-混乱-

まあ、つまりは人工子宮は全てを整えた状態で胎児を迎え入れる為に、その中で成長した胎児は自身で生きようとする用意もしなくてもいい。そして無感情のコンピュータに制御された中で誕生の時を迎えるのだ。
母体の中で成長をして誕生の時を迎えた胎児は、出産時に卵膜が破裂し、その中にあった羊水が母体の外へと流し出して清められた産道を通って生まれ堕ちてくる。この時の母体と胎児にかかる負担はかなり大きく、この出産時には時にその双方に危険が伴うことも多々あるのだが、人工子宮で成長した胎児が誕生する時には、閉鎖されていた蓋を開いた研究員の手によって易々と救い出され、すぐに人工保育の中へと移されるのだ。何の障害もなく生み出された胎児には『ヒト』の母体から生まれ出た胎児と生活面の中でも違いが顕著に表れる。
人工子宮から生まれ出た子どもは忍耐強さがなく、意志も弱い。集中力も欠けていて、何か不満があればすぐに暴力で解決をしようとする。だから先ほど男が言ったように、いくら『ヒト』の女の子宮に近付けようとして高精密な人工子宮を完成させたとしても、結局自然創造物には敵わないのだ。
「そういえば、さっきの『モノ』が襲った学生はもしかして?」
男は説明は終わったとばかりに俺に違う話題を振り出した。その問いに俺は軽く頷く。
「ああ、そうだ」
俺の肯定の返事に男は口元を緩めた。
「そうか、お前もとうとう完璧になれるのか」
「まあ、最初の出逢いがあんなことになるとは思わなかったよ。できれば違う形で出逢いたかったけどな」
出逢いは個々それぞれさ――
男はそう言うと車を止めた。
「ほら、着いたぞ。俺はもうここから向こうへ入ることはできない」
「あ、そうか…… あんたは完璧になったんだもんな」
「もう、随分前だけどな」
俺は車を降りると運転席の方に回って片手を上げて別れの挨拶をする。と、運転席の方の窓を全開していた男が目を丸くさせた。
「それは何だ?」
男が指差す方向、それは俺の指。そこにはピンク色で小さなハート柄のバンドエイドが巻き付いていた。それを見て俺は小さく呟く。
「これは、”戦利品”だ……」
「戦利品って、それをつけてくれた娘(こ)はもう、既にお前のものだろう?」
「ん、そうなんだろうけれど…… 何だろうな、あれが喜怒哀楽って言うんだろう? 泣いていたと思ったら笑っていたり……」
母体の中で成長をして誕生の時を迎えた胎児は、出産時に卵膜が破裂し、その中にあった羊水が母体の外へと流し出して清められた産道を通って生まれ堕ちてくる。この時の母体と胎児にかかる負担はかなり大きく、この出産時には時にその双方に危険が伴うことも多々あるのだが、人工子宮で成長した胎児が誕生する時には、閉鎖されていた蓋を開いた研究員の手によって易々と救い出され、すぐに人工保育の中へと移されるのだ。何の障害もなく生み出された胎児には『ヒト』の母体から生まれ出た胎児と生活面の中でも違いが顕著に表れる。
人工子宮から生まれ出た子どもは忍耐強さがなく、意志も弱い。集中力も欠けていて、何か不満があればすぐに暴力で解決をしようとする。だから先ほど男が言ったように、いくら『ヒト』の女の子宮に近付けようとして高精密な人工子宮を完成させたとしても、結局自然創造物には敵わないのだ。
「そういえば、さっきの『モノ』が襲った学生はもしかして?」
男は説明は終わったとばかりに俺に違う話題を振り出した。その問いに俺は軽く頷く。
「ああ、そうだ」
俺の肯定の返事に男は口元を緩めた。
「そうか、お前もとうとう完璧になれるのか」
「まあ、最初の出逢いがあんなことになるとは思わなかったよ。できれば違う形で出逢いたかったけどな」
出逢いは個々それぞれさ――
男はそう言うと車を止めた。
「ほら、着いたぞ。俺はもうここから向こうへ入ることはできない」
「あ、そうか…… あんたは完璧になったんだもんな」
「もう、随分前だけどな」
俺は車を降りると運転席の方に回って片手を上げて別れの挨拶をする。と、運転席の方の窓を全開していた男が目を丸くさせた。
「それは何だ?」
男が指差す方向、それは俺の指。そこにはピンク色で小さなハート柄のバンドエイドが巻き付いていた。それを見て俺は小さく呟く。
「これは、”戦利品”だ……」
「戦利品って、それをつけてくれた娘(こ)はもう、既にお前のものだろう?」
「ん、そうなんだろうけれど…… 何だろうな、あれが喜怒哀楽って言うんだろう? 泣いていたと思ったら笑っていたり……」

