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Eternal
第3章 :confusion-混乱-
 胎児付属物はもともと受精卵から分化したものなのだ。三層の膜の中の外側の一つだけが母体成分である。三層の真ん中に位置する絨毛膜は胎児が母体から栄養を吸収する膜であり、一番内側にある羊膜は直接胎児を包む膜である。この卵膜は外界と胎児を隔離しているバリアだ。胎児はその膜の中で羊水と呼ばれる液体の中で浮かびながら成長をするのだ。その中はまさにこの首都と同じく無菌状態なのである。母体にも胎児にも異常が見当たらなければ、その場所はまさに天国そのものだろう。
「お前は『H地区』が巨大な子宮のようだと言ったが、では『H地区』が子宮であれば、この首都は巨大な母体となるな。何せ、この首都内は無菌状態。「関門」は五つあるが、この首都内を覆うバリアはまさに三層で囲まれている」
 偶然とは思えないと男は呟いた。
 この首都に入れるのは基本、『ヒト』と呼ばれる女だけだ。同じく『ヒト』と呼ばれる男も何ら問題がなければ五つの「関門」を通過することができる。しかし男はそこまでで、男女の識別によって排除される運命。五つの「関門」はまさに卵管への入り口なのだ。しかしなぜにこのような面倒臭いことをするのか? 『ヒト』の女だけが必要なのであれば男など連れて来なければいいことだ。しかしそれでは駄目なのだ。
 女の性質に鋭い勘が働くという特徴を備えている。首都には女しか入ることができないなどと知られれば恐らく、首都外に存在する『ヒト』の女たち全てが首都に来ることを拒むだろう。そうなったらこちら側は困るのだ。だから演出をしてまでも男も首都に入ることができることを女に見せつけて安心させなければならない。
「さて、この首都の構造のことはさて置き、『ヒト』の女の子宮内で育った胎児は母親の感情を体内で直接受けることになる。母親の喜びや悲しみ、怒りなどの喜怒哀楽は胎児に直接影響を与える。もちろん、外界から母体に入るものもだ。妊婦となった女は皆が皆というわけではないが、やはり食や日常生活に気を付けるようになる。それもまた、健康な子どもを産む為だ。その努力ができるのは、過去から辛抱強いと言われる女にしかできないことだ」
 今の女にそれがあるのはほんの一部かもしれないがな――
 男は最後に絶望的な低い声音でその言葉を吐き捨てた。


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