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Eternal
第3章 :confusion-混乱-
 朝の光が閉じている瞼の上に降り注ぐ。昨夜あの彼が助けてくれなかったら、私は今この瞼でこれを感じたり、朝の訪れから隠れるように布団を頭まで被る仕草などできなかっただろう。
 今日は休日で久しぶりに朝寝坊をする気満々だったけれど、その願望は部屋の中でいきなり響き渡ったインターホンの雑音によって見事に崩れ去った。
 部屋の中に誰かの来訪を報せる言葉が流れる。
「ライキャク・キケンブツフショジ・ドアカイジョウキョカ」
 危険から守ってくれるセキュリティは役には立つが、時には煩く感じることがある。それとこれも――
「今何時?」
 問い掛けてみれば、
「ゴゼンクジロップンサンジュウサンビョウ・デス」
 何ともまあ、細かく知らせてくれるものだから、聞き終わった後には何時で何分だったのかを忘れてしまうくらいだ。時間はもういい。今は朝早くにインターホンを鳴らして私の安眠を妨げた訪問者の応対が優先だ。私はベッドから飛び降りると、起きたてのせいでなにもない場所でつまづきながら玄関へと向かって歩いた。
「はい、どなたですか?」
 恐らく、いや、このような時間にやって来るのは友人くらいなものだと思い込んでいた私の姿は玄関の向こう側に立っていた訪問者にどう思われたか。玄関のドアを開けた後の私が魔法を使えたならきっとそうしていただろうし、部屋の中で命令をしたことをすぐにしてもらえたのならもちろんやってもらっただろう。
 今すぐにこの姿をこの彼の目の前から消して――


 玄関のドアを開けた後の私の行動は動揺した為にかなり滑稽なものだった。
 目の前に昨夜の彼が立っていて私の全身を見ていたのだろう。昨夜と同じく口全体と鼻の半分が隠れている上方にある切れ長の目の中の瞳が上下へとゆっくり動いていた。昨夜と異なるところといえば、彼がマフラーの他にコートのフードを被っているところか。外は余程寒いのかしら? なんて考える前にしなければいけない重大なことに私は気づく。その動きを見た私も自分の姿を見る為に顔をゆっくり下方へと傾けていき、つま先まで視線を流し終えた途端に声にならない悲鳴を上げた。
 頬を蒸気させながら、口元からは焦りの為か言い訳がましい言葉を放ってしまった。
 
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