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お披露目の会の余興の話(くすくす姫後日談その5のおまけ)
第1章 お披露目の会の余興の話

(…俺に抱かれて蕩けてる時みてえに、イイコにしてりゃあ十分だ…)

「っ!?」
似ていたのは、サクナと睦み合う時のあれこれでした。
言葉ではなく触れ合うことでお互いを高めたり焦らしたり、相手の体に触れることで自分を気持ち良くしたりといった愛を交わす時にする行為ひとつひとつが、この踊りを踊っている感じと、よく似ていたのです。

「…きゃ!」
「おっと」
思わず動揺した姫はぐらりとバランスを崩しかけて、サクナがそれを振り付けめいて見える様に強引に引き戻しました。
「…お前、今何か余計な事考えたろ」
「うっ」
「何考えたか後で聞かせろよ」
「ううっ」
「とりあえず今は忘れろ。もうじき終いだ」

やがてビスカスの歌が終わりかけ、姫は何度かくるくる回されてサクナの腕の中にすっぽり収まると、ぎゅうっと強く抱き締められて、髪や額やあちこちに口づけられました。

「…おっ…終わった…踊れたあ…!」
「よしよし、良くやったな!すげぇ上出来だったぞ」
この地の出では無い姫の踊りが思いのほか上手だったからか、踊りが終わったというのに二人が人前で抱き締め合っていちゃいちゃし続けているからか、周りは拍手や歓声や指笛や囃し声で盛り上がっていて、大層賑やかでした。けれど、サクナにきつく抱き締められて自分でもぎゅうっと抱き付いている姫の耳には、喧騒はそれほど聞こえませんでした。
しばらくして腕を解かれた姫は、サクナと手を繋いでお客様にお辞儀をしました。そこで穏やかな喝采を受けると、二人は席に戻りました。


「素晴らしいな。初めて踊ったとは思えない」
「まあな」
タンム卿に拍手で迎えられたサクナは、ふふんと得意気に笑いました。

「奥様、お見事でした」
「ありがと、バンシル」
「正直、どうなる事かと思いましたけど…ほっとしましたよ」
「私も、ほっとしたわー…」
バンシルに汗を拭かれ預けていた薄衣を掛けられて労われ、姫はふうっと息を吐いて微笑みました。

「さすが本物の婚約者様同士ですわね。息がぴったりでしたわ」
「…いえ、そんな…ローゼル様に比べたらっ…お恥ずかしい限りです…」
ローゼルにまで拍手され、姫は真っ赤になりました。

「いやー!お二方とも、お疲れ様でしたー!」
「有り難うな、ビスカス。世話になった」
汗を拭きながら戻って来たビスカスの肩を、サクナは上機嫌でばしばし叩きました。
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