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お披露目の会の余興の話(くすくす姫後日談その5のおまけ)
第1章 お披露目の会の余興の話
「ねえっ!バンシルっ!」
「何ですか?」
髪を直す為にバンシルは、姫を鏡の前に連れて来て座らせました。
「バンシルちゃんって…バンシルちゃん?!」
「…何ですか、それ」
姫の髪を梳りながら、バンシルは眉を顰めました。

「タンム様、バンシル『ちゃん』って言った!何!『ちゃん』って何!」
「あー」
スグリ姫は、タンム卿とお見合いした過去が有ります。その時の呼ばれ方は「スグリ姫」か「姫」か「スグリ様」で、今の呼ばれ方は「スグリ様」か「スグリ嬢」です。「ちゃん」付けで呼ばれた事など、有りません。バンシルがその頃タンム卿に何と呼ばれて居たのか、そもそも呼ばれた事が有るのかは、姫は憶えて居ませんでした。

「どこかおかしいですか?」
驚く姫に向かって、バンシルは顔色一つ変えずに平然と答えました。
「…へ?」
「考えてみて下さいな。バンシル『さん』は、変でしょう?」
「…そう?」
「ええ。タンム様はご領主様のご次男ですよ?ご自身よりかなり身分の低い年下の女に『さん』付けというのは、差し障りが…それに、私は『姫』の侍女ですから、呼び捨ても難しいのでは?」
「サクナは呼び捨てにしてるわよ?」
「サクナ様は、私の主である姫様の婚約者ですから、主も同然です。タンム様は以前婚約者でしたが、今は違いますよね?けじめとして、現婚約者様と同じ呼び方をなさるのは如何なものかと」
「…あー?…そう?…かも…?」
バンシルに理路整然と指摘された姫は、「ちゃん」呼びが普通の事の様な気がしてきました。同時に、タンム卿とお見合いした頃の事を忘れまくっている自分を、少しばかり反省しました。
それは姫のせいというよりも、せっせと上書きしている人物のせいなのですが。

「そうなると」
バンシルは、姫に追加で畳み掛けました。
「呼び方は必然的に、バンシル『ちゃん』になりますよね?」
「…必然的?それ、必然的?」
「ええ。他の呼び方は不都合なので、『ちゃん』になるのも止む得しです。消去法ですね」
「しょーきょほー…」
「さ、姫様、出来ましたよ。これで、皆様の前でどんなに踊られても、大丈夫です」
バンシルは、姫を立ち上がらせました。

「参りましょう。ご当主様も皆様も、お待ちかねですよ」
「うん?…うん、そうね…」
姫は口の中でバンシルちゃんバンシルちゃんと何度か繰り返してみましたが、なんだか慣れない、と思いました。
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