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女鑑~おんなかがみ~
第15章 幻滅
「人の噂ほど当てにならないものはありませんな」
しばらくしてから,佐伯が箸を止めて静かに言った。
「はい,なんでしょうか」と孝秀。
「実は,倉持先生は気短で暴力を振るうので気をつけろと,校長に聞かされているのですよ。
それから,金がないのは,悪所の女に入れあげているからだという噂さえありました。
しかし,君は,いつも丁寧だし,穏やかだ。また非常に純真な方だ」

孝秀は思わず声を上げそうになった。
と同時に,佐伯にならわかってもらえるのではないかという気持ちにもなった。

「噂は,残念ながらほとんど真実です。」
「え,それはまさか」
「前にいた学校も,その前にいた学校も,技手として働いていた研究所も,すべて同僚に暴力を振るってやめました。
まあ,こちらにも少しの分はあったので,なんとか一身上の理由ということで,依願退職扱に。」
「・・・・・・左様でしたか。まあ,暴力はいただけませんな。」
「おっしゃる通りです。今後は一切,そのようなことは・・・・」
「しかし,暴力を振るわれた理由は,どれも同じなのでしょう。違いますか」
「ええ,実は」
「それなら,二度あることは三度ある,と言わざるを得ませんね」
「・・・はい。」
「女性に関することなのではありませんか」
「まあそうです。
教員室のなかでさえ,今度の給料日には悪所へ行くなどと騒いでいる先生方がおられて,なかには私に一緒に行こうと誘われたことも・・・」
「まあ,そのような話題は褒められたことではありませんが,珍しいことではないでしょう。
教員がみんな君のように清廉潔白ということはない。
ふつうの大人なら,適当に受け答えをして,距離を置くものです。
君も,普段からそのようにしているでしょう。そこでわざわざ暴力を振るうというのは倉持先生らしくありませんね」
「そうなのですが,それでも,許せなくて」
「成程,ご事情がおありのようですね。お金のこともですか。
代用教員の給料は確かに雀の涙だが,食べるものにも事欠くことにはならないでしょう。」
「ええ,恥を忍んで申し上げますが,はい。自分には愛している女性がいますが,彼女は,意に反して・・・・」
「身売りを強いられているということですね。それもよくある話ですが」
佐伯は驚きもしなかった。
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