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女鑑~おんなかがみ~
第12章 貞操
「千鳥姉さん,そんな,急すぎます。ひどい,操子ちゃんはまだ・・・」
夕顔が真っ先に異を唱えたが,操子の返事もそれと同時だった。
「ありがとうございます。承知いたしました。わからないことばかりですので,いろいろお教えください」

「わかっていると思うけれど,早く女になって客を取りたいってわざわざ言いに来たのは操子ちゃんだからね。あとからやっぱり嫌だとかいうことはできないんだよ。覚悟はできているんだね。」と千鳥が念を押す。
「はい」
低いがはきはきした声で答える操子の横で,夕顔は泣き出しそうだ。

後から千鳥は夕顔を部屋に呼んだ。
「なんといえばよいのかわからないけれど,本当にいいのか,心配で」と夕顔。
「心配する気持ちもわかるけれどね。ただ,あの子は,幼い時分から,家の決めたところにどこでも嫁ぐんだって覚悟して,貞操というものをそういう風に考えてきたでしょう。
そこで,急に家も嫁ぎ先も消えてしまったら,覚悟が宙ぶらりんになって,かえってしんどいのじゃないかと思うのよ。
だから,可哀そうに思えても,水揚げを済ませちゃったほうがよいような気がするの」
と千鳥は,考えながら話した。
「でも,あの子,どこかおかしいですよ。多分,昔から。
私があの材木問屋にいたころ,あの子の兄の孝秀さまに聞いたんだけれど,
一度だって泣いたところを見たことがないって。それ,変でしょう。
いつも一緒にいた四つ違いの兄が,妹の泣いたところを見たことがないって。
好いた男もいないっていうし・・・」と夕顔。
「だから,あの子,好きな男などというものはふしだらだって返事したんでしょう。
あのとき,あんた怒ってたよね。せっかく心配してやっているのにって」
「まったくだわ。なんか,こう,わからないけれど,気味悪くて・・。
ねえ,お酒ありません? 千鳥姉さんと一緒に少し飲みたいわ」
「客が飲まなかった分が銚子の底に残っているけど,それでよければ」
千鳥は銚子に残った酒を湯呑に入れた。
「夕顔ちゃん,好きな男がいないってそんなに気になるの?」
「だって,好きになるじゃありませんか。
私,今でも孝秀さまのことは本当に好きだし,丸福のご隠居様も優しいからかなり好きだし・・・。それとね,それとね,この前から通っている若い大工さん,目と鼻がほんのちょっとだけ孝秀さんと似ていてね,本当に素敵なのよ,ねえ,聞いて」
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