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振り向けば…
第25章 深いよ…



白地に紫の花が描かれたワンピース…。

肩が出て背中も半分くらい出るワンピースだからカーディガンを羽織らないとエアコンの寒さに耐えられないとか考える。

ぼんやりとしながら浴室へと踏み込んだ。


「凄っ…。」


ガラス張りの展望風呂…。

市内と桜島が一望出来るお風呂。

しかも温泉…。

わざわざ悠真がこのホテルを選んだ気持ちがわかる気がする。

私がゆったりとお風呂に入れる為の景色。

そんな雄大な景色なのに湯船に入る私は…。


『桜島の神様、お願い事の追加です。強くはなりたいけどムキムキの女にはしないで下さい。』


と桜島に向かってひたすら拝む。

この距離でちゃんと願いが届くかは不明だけど篤姫の銅像のようなムキムキの女にだけはなりたくないと必死だった。

お風呂上り…。


「悠真!ここのお風呂凄い!」

「やろ?」


ご満悦の悠真。

そのまま2人で再び天文館に向かう。

昼間は普通の大きな商店街というイメージだった。

だけど夜は…。


「ここも凄い…。」


そう言うほどの繁華街になっている。

大阪で言うなら北新地…。

東京で言うなら歌舞伎町…。

そんな感じの天文館…。

悠真は携帯でナビを確認する。


「こっちや…。」


夜の繁華街を悠真が私の手を引いて歩き出す。

ちょっと小綺麗なお店…。

鹿児島郷土料理の看板が上がってる。


「豚しゃぶに地鶏のタタキ。鹿児島の食い物はほとんど揃ってる店らしい。」

「お肉ばっかりやん。」

「魚がええならキビナゴもあるぞ。」


こういう時の悠真はワクワクとした顔をする。

自分の誕生日に自分の為の大きなケーキを見たような顔が可愛いとか思うて笑うてまう。


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