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ハプニングは突然に【完】
第2章 橋のたもとに導かれて
何日も、連絡することをためらって、



私は同じ時間のバスに乗ることをやめた。



少し早い時間のバスで職場に向かっている。



あの人のことは全然わからない。


私は彼のことをなにも知らない。



けど、会釈する関係から突然痴漢してくるなんて


変態な頭のおかしい人間に違いない。



連絡先のメモを見つめる。



本当に、何も知らないの?



自分に問いかける。



私は、毎日のように彼を見ていた。




お婆さんに席を譲ったり



泣いている赤ちゃんに向けて笑い掛けたりする




優しい人柄を知っている。



パリッとしたスーツを着こなし、清潔感に溢れていた。あぁいう人は、自分に自信があって仕事も出来るに違いない。



疲れた顔を見せず、座る席が空いていてもほとんどは立っていた彼。


あの真っ直ぐな姿勢。

芯のある人なのかな?と、思った。



見ていただけだけど、意外と彼のことわかってる気がする。



このままでいいのかな?と悩む。


彼に聞くべきでは?なぜあんなことをしたのかと。


なぜ連絡先を寄越してきたのかと。


身体の関係が欲しいだけなのかもしれない。


変態なのかもしれない。



連絡をしたい、でもしちゃいけない。



だって、犯罪者だもん。




痴漢さんだもん。



でも、だって



そんなことばかり浮かぶ。



結局、一週間連絡することはできなかった。









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