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ハプニングは突然に【完】
第4章 イケメン高校生
新堂は、ゆりが痴漢をされたと聞いてから、気が気じゃなかった。


営業の出張なんてなければ。と、仕事のことを後悔しても仕方ない。


会社ではクールで落ち着いた印象があるらしく、今回の出張で一緒に行った後輩が


「新堂さん、なにかあったんですか?いつも落ち着いてるのに、ソワソワしてばかりですね。」

と、出張の帰りの新幹線の中で心配してくれていた。



俺はそんなに態度に出ていたのかと反省する。



取引先との商談では、そんな態度は見せていないつもりだったし、なんなら後輩に対しても普通に接したつもりでいた。



「まぁ、ちょっとな。心配かけてすまない。」

と、笑顔を見せると


「いつも完璧な先輩が、そんな風に困ったり焦ったりしているなんて、彼女さんのことでしょう?」
と、核心をつかれる。


新堂はドキッとしたが


「さて、どうだろうな。」と、笑ってごまかす。


「ほんと、先輩はクールでミステリアスなんだから。」と、カラカラ笑う後輩。



それから、午後2時には会社に経過を報告し、報告書も完成させ早めに退社した。



そう、痴漢をした高校生に会うためだ。



会ってどうするのか、そこまではまだ考えていない。



ただ、ゆりにはきちんと謝罪をするようにと伝えるつもりだ。


それに…もしかしてと思って、朝に母に連絡をしてみたら驚くべきことが判明した。



名原という名前は母親の旧姓でもある。


どこにでもある姓だが、彼がどことなく自分に似ていると前から思っていたのだ。



その高校のバスケ部の名原は、俺の母親の弟の息子。



つまり、従兄弟だったのだ。



母は、昔から実家との縁が薄く、親兄弟との関わりが少なかったのでその事実に気付けなかった。


最近になって、やっと少しずつ実家とのやり取りをするようになったのだ。わかるはずがない。




まさか、従兄弟同士が同じ女性に恋して痴漢するなんてな。



とんだおかしい家系だろ。


でもこれで、堂々と会いに行ける。



家に荷物おく時間も惜しく、会社からまっすぐ高校へ向かった。




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