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愛里 ~義父と暮らす小学六年生~
第3章 ゴールデンウィーク。旅行二日目
「もしもし」

 電話の相手は宿直当番の老人だ。

「すいません、夜遅くに」
「いや、大丈夫ですよ。どうかしましたか?」
「ええ、今防犯カメラを見てたんですけどね。あの、新しいコテージあるじゃないですか」
「はい」
「あそこの近くの四阿に女の子が一人で座っとるんですわ」
「女の子?」

 防犯カメラの映像は何も操作をしないと自動で切り替わっていく。それは事務所のモニターとリンクしているから、さっき四阿の映像に変わった時に宿直当番も気が付いたのだろう。

 新堂のパソコンの画面の中、寂れた四阿に少女が一人、ぽつんと座っている。

 愛里だった。

 何故、こんな所にこんな時間で一人でいるのか。理由は分からない。

「あの、この子例のコテージの子ですよね」
「ええ、そうですね」
「それで、注意をせにゃならんとは思うんですが、ほれ、あそこのお客さんは言ったら上客じゃないですか。それでどうしたもんかと思いまして」

 上客か。しかしその表現はある意味正しい。

 愛里達親子が泊るコテージは他の四棟と比べて新しく値段もずっと高い。なかなか宿泊客が寄らず、客同士のシェアも認めているほどだ。

 実際に大事な客を泊めるためのコテージだったし、元々ある建物を改装しただけなのでそれほど金額的に損をしているわけではない。さして新堂は気にも留めていなかったが、なるほど言われてみれば上客と言えるかもしれない。

「ありがとうございます。よく知らせてくれました。私が行って注意しておきますよ」
「そうですか。お手数かけてすいませんね」
「いえいえ、お気になさらず。引き続きよろしくお願いします」

 新堂はスマホをポケットにしまう。

 チャンスだ。

 新堂はそう考えた。愛里の裸が頭から離れないその夜に、たった一人で座っている。
 それを都合よく老人が知らせてくれた。
 
 犯したい。

 新堂はすぐに自宅を飛び出した。
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